解説
被告の主張および原告・弁護団方針〜八ッ場ダム住民訴訟弁護団より
05年1月25日水戸地裁を皮切りに、3月11日千葉地裁をもって、一都五県での第1回弁論期日がすべて終了し、水戸地裁では3月29日に第2回期日が行われました。そこで、この訴訟での被告(1都5県)の主張に対する今後の対応を整理すると、以下のとおりです。
1 ダムの要否論に入れるか
全部却下(訴えの門前払い)を求めてきたのは埼玉のみでしたが、水戸地裁第2回期日では、被告は、住民訴訟で問題とできる財務会計行為がないとする主張を展開することを予告しています。したがって、八ッ場ダムの治水上・利水上の必要性の有無、ダムの危険性などについての具体的な論争に入る前に、門前払い論に対する反論が必要となりそうです。
2 被告はダム使用権設定申請を取り下げるべき
原告・弁護団は、各都県での適切な財産管理を行うべき責任者(公営企業管理者等)は、ダム建設の決定時のみならず、その後も状況変化を踏まえて、ダムの必要性を検討する義務があると考えました。この考えを前提に、私たちは被告(1都5県)に対して「公営企業管理者等は、現段階でダムはもはや不要と判断すべきであり、被告(1都5県)は、国に対し、今後、『八ッ場ダム建設には参加しません=ダム使用権設定申請を取り下げます』と伝えなければならない」という主旨の請求(ダム使用権設定申請の取下げを怠る事実の違法確認請求)をしています。
この請求に対し、被告(1都5県)の全てが、却下を求めてきました。被告らは、「申告し受理された設定予定ダム使用権は、地方自治法上、住民訴訟で問題とできる「財産」には該当しないと主張しています。
そこで、原告・弁護団としては、現段階での八ッ場ダムの要否を本格的に議論するために、被告らのこの主張に対し、全面的に争う方針です。